[経歴]
2012年3月 兵庫医科大学医学部 卒業
2012年4月 高知医療センター勤務
その後、大手美容外科にて院長を歴任
2024年2月 いびきのクリニック入職
2024年11月 いびきのクリニック梅田院院長となる
年代別の女性のいびきの原因と治し方は?
産後や更年期・若い20代のそれぞれの違い

いびきは男性特有のものと思われがちですが、実は女性でも20代から50代まで幅広い年代の女性にもいびきは見られます。とくに閉経前後ではホルモン変化により発症率が上がることが知られています。
しかし、多くの女性はいびきについて周囲に相談できず、一人で悩みがちです。
本記事では女性のいびきの原因と治し方を年代や状況別に解説し、いびきをかく女性の割合や注意点、パートナーへの伝え方などについて詳しく紹介します。
自分や身近な女性のいびきが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師情報

女性のいびきの原因と治し方
まず、女性のいびきの原因と治し方について基本的なポイントを押さえましょう。いびきは睡眠中に喉や鼻の気道が狭くなることで生じる音です。
女性に限らず、いびきの原因にはさまざまなものがあります。例えば、一時的な要因では疲労や飲酒、鼻づまりなどで筋肉がゆるみ気道が狭まるときにいびきをかくことがあります。
一方で慢性的ないびきは、肥満による首周りの脂肪蓄積や顎の構造など体質的な要因、加齢やホルモン変化、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの病気が隠れているなど、さまざまな要因が考えられます。
原因に応じた適切な対策をとることが重要です。
基本的ないびきの治し方としては、まず生活習慣を見直すことから始めましょう。簡単に取り組める方法として、仰向けで寝ている人は横向きで寝るように姿勢を工夫するだけでも、重力の影響で気道が確保されていびきの改善が期待できます。
また、首周りや喉の周囲に脂肪がついて気道が狭くなっている場合は、適切な食事管理と運動による減量で適正体重を維持することが重要です。
さらに、就寝前の飲酒を控える、可能であれば禁煙する、鼻炎や副鼻腔炎がある場合は治療して鼻の通りを良くするなど、原因に合わせた対策を行いましょう。
それでも改善しない慢性的ないびきや、日中の強い眠気・疲労感など気になる症状がある場合には、医療機関で相談して専門的な治療を受けることも検討しましょう。
以下では、女性特有の状況(疲労時、若年層、更年期、産後太り)に分けて原因と対策を詳しく見ていきます。
疲れていると一時的にいびきをかく場合も
誰でも仕事や育児などでクタクタに疲れているとき、普段はいびきをかかない人でも一時的にいびきをかくことがあります。
疲労や睡眠不足が蓄積すると、深い睡眠(特にレム睡眠)の割合が増え、喉周りの筋肉の緊張が低下しやすくなります。その結果、気道が狭まり、いびきが出やすくなります。
特に深酒をした夜や徹夜明けなどは、筋肉の緩みに加え睡眠が深くなることでさらにいびきをかきやすくなります。
このような一時的ないびきであれば、原因となる疲労が回復すれば自然と収まることが多く、大きな心配はいりません。
対策としては、できるだけ十分な休息をとり、睡眠時間を確保することです。
日々の生活習慣を整え、心身の疲労をためこまないよう心がけることが、疲労による一時的ないびきの予防に有効です。
若い20代・30代のいびきの原因と治し方
「いびき=中高年男性」のイメージがあるかもしれませんが、20代・30代の若い女性でもいびきは見られます。
その原因としては、体質や生活習慣など様々です。アジア人は欧米人に比べて骨格的に下顎が小さく後退している傾向があり、このような顎の構造は気道を狭くし、いびきや睡眠時無呼吸のリスクを高めると報告されています。
若い頃から修学旅行や合宿でいびきを指摘された経験がある人は、自分の顎の形状が影響している可能性もあります。
また、20代・30代でも肥満体型の人はいびきをかきやすく、首や喉周辺に脂肪が蓄積すると、睡眠中に気道が圧迫されやすくなり、いびきを引き起こすリスクが高まります。特にBMIが25以上の肥満に分類される場合、いびきを引き起こすリスクが高くなるため注意が必要です。
一方、生活習慣では就寝前の過度な飲酒や喫煙、慢性的な鼻づまり(アレルギー性鼻炎など)もいびきの誘因となりえます。
こうした若い世代のいびきの治し方としては、まず生活習慣の改善が基本です。もし体重が増えている場合は無理のない範囲でダイエットに取り組んでみましょう(適正体重に戻すだけでいびきが改善するケースも多々あります)。
寝る前の飲酒を控え、規則正しい生活を心がけることも効果的です。鼻づまりがある場合は、まず鼻腔拡張テープなどを試し、改善が見られない場合はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の可能性もあるため、耳鼻咽喉科での診察・治療を検討しましょう。
また、骨格的な問題が考えられる場合は、歯科や耳鼻咽喉科でマウスピースの作製を相談する方法もあります。
若いうちから自分のいびきに向き合い、早めに対策しておくことで、将来的な睡眠時無呼吸症候群や高血圧、心疾患といった健康リスクの予防にもつながります。
更年期の女性のいびきの原因と治し方
女性は更年期を迎えると、それ以前に比べていびきをかきやすくなるとされています。
一般的に更年期とは閉経の前後5年間ほどの時期を指し、多くの場合50歳前後ですが、人によっては40代から徐々に女性ホルモンの分泌が減少し始めます。
実は女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)には、喉の周囲の筋肉を適度に緊張させ気道を開く働きがあります。
しかし、更年期になるとホルモン分泌が低下して筋肉の緊張が保てなくなり、若い頃に比べて喉の気道が狭まりやすくなってしまいます。その結果、中高年以降の女性はいびきをかきやすくなるのです。
さらに、更年期世代は代謝が落ちて太りやすくなることもいびきを引き起こすリスクを高めます。中年以降、食生活の変化や運動不足で体重が増えると、喉の内側にも脂肪がついて気道が狭くなり、今までいびきをかかなかった人でもかくようになることがあります。
こうした原因に対処するには、生活習慣病予防も兼ねて適度な運動習慣を持ち、体重管理に努めることが有効です。
また就寝前のアルコール摂取を控え、眠るときは仰向けより横向きになることで気道が広がりやすくなるため取り入れてみましょう。
それでもいびきが改善しない場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性も視野に入れて、一度専門クリニックで検査してみると良いでしょう。
閉経後の女性では、ホルモン変化や加齢により睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まり、閉経前に比べて有病率が大幅に上昇するとの報告もあり、ひどいいびきは放置しないことが大切です。
産後で体重が増えた女性のいびきの原因と治し方
出産を機に体重が増加し、そのまま体型が戻らないまま育児に入った女性も少なくありません。
妊娠中に増えた体重が産後も残って肥満傾向になると、喉周りに脂肪が付いて気道が圧迫され、いびきをかきやすくなることがあります。
実際、「妊娠後期からいびきをかくようになった」「産後にいびきがひどくなった」という声も少なくありません。
これは体重増加に加え、産後の睡眠不足や疲労蓄積も影響しています。赤ちゃんのお世話で慢性的な寝不足やストレス状態が続くと、筋肉が緩みやすくなるため、普段以上にいびきが出やすくなるのです。
産後のいびき対策としては、まず育児による疲労をできるだけ軽減することが重要です。家族の協力や自治体の産後ケアサービスなども活用し、睡眠時間を確保しましょう。
疲れが和らげば、一時的ないびきは自然と治まる可能性があります。そして体重が大幅に増えている場合は、体調が落ち着いてきたタイミングで無理のないダイエットに取り組んでみてください。妊娠をきっかけに肥満体型になってしまった人では、適正体重に近づけることでいびきが改善することがあります。ただし、産後すぐの過度な減量は母体に負担がかかるため禁物です。少しずつ健康的な生活習慣を取り戻し、必要であれば医師とも相談しながら進めましょう。
産後はホルモンバランスの変化や育児疲れにより心身の不調が生じやすい時期です。いびきもその一部として現れることがあり、自分一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ながら過ごすことが大切です。
どんな体型の女性がいびきをかきやすい?
次に、体格・体型といびきの関係について見てみましょう。一般的には、肥満体型の女性ほどいびきをかきやすい傾向があります。首や喉周りに脂肪がつくと、寝ている間に気道が圧迫されいびきが発生しやすくなります。目安としてBMI(体格指数)が25以上だと肥満と判定されますが、このくらいの体型になるといびきのリスクが高まるとされています。
ダイエットに取り組んで適正体重に戻すことでいびきが改善されるケースも多く見られます。
ただし、痩せているから絶対にいびきをかかないというわけではありません。あごの骨格や喉の奥の形によっては、スリムな体型の人でもいびきをかいたり睡眠時無呼吸症候群になるケースがあります。
特に顎が小さい女性は太っていなくても気道が狭く、いびきをかきやすい傾向があります。
とはいえ、やはり肥満体型の方がリスクが高いのは確かです。自分の体型を客観的に把握し、「最近太ってきていないか?」と振り返ってみることも、いびき対策の第一歩と言えるでしょう。
必要に応じて適度な減量や筋力アップに取り組み、喉周りに余分な脂肪をつけないよう心がけることが大切です。
急にいびきをかく女性と何歳からかきやすくなる?
「私はこれまでいびきをかいたことがなかったのに、最近になって急にいびきを指摘されるようになった」という女性も多いかもしれません。
女性が急にいびきをかくようになる背景には、体や環境の変化がある場合が多いです。例えば、中年以降に体重が増えて肥満傾向になると、首や喉周りに脂肪が蓄積され、気道が圧迫されることがあります。
また、更年期に伴う女性ホルモンの減少も重要な要因の1つです。更年期でエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモン分泌が低下すると喉の筋肉が緩みやすくなり、いびきをかくリスクが高まります。
一般的に女性はいくつからいびきをかきやすくなるかというと個人差はありますが、40代〜50代にかけて注意が必要と言えるでしょう。実際、閉経を迎える50歳前後から女性のいびき発生率が高まる傾向があります。
一方、20代・30代でも「急にいびきをかくようになった」と感じる場合は、自身の生活習慣や健康状態の変化を振り返ってみましょう。
最近寝不足の日が続いていないか、強いストレスを感じていないか、といった点です。また、新たに睡眠薬や筋弛緩作用のある薬を飲み始めた場合、その副作用としていびきが発生することもあります。
こうした原因に心当たりがあれば、それを取り除くことでいびきが改善する可能性があります。しかし、これといった要因が見つからないのに突然いびきをかき始め、その状態が続くようであれば早期に医師に相談することが重要です。
女性のいびきによっては大病の可能性があるので注意
たかがいびきと侮ってはいけません。いびきは場合によっては体からの重要なサインであり、放置すると健康上のリスクを伴うことがあります。
特に、寝ている間に「グーッ…プスッ」といびきが途切れるような無呼吸を伴う場合は睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気の可能性があります。
この疾患では睡眠中に何度も呼吸が停止することがあり、体内の酸素供給が不足し、睡眠の質が低下します。
その結果、合併症として高血圧や脳卒中、心筋梗塞などの命に関わる大病をひき起こすリスクを高めることが知られています。
また、日中に強い眠気が生じて居眠り運転による事故の原因になることも指摘されています。専門医も「いびきと関連した疾患で注意を要するのは睡眠時無呼吸症候群」であると警鐘を鳴らしています。もし女性でも「いびきが急に大きくなった」「息が止まっていると指摘された」「昼間に極端に眠い」といった場合は、早めに医療機関を受診して適切な対策を取ることが大切です。いびきの背後に潜む病気を見逃さず、健康を守りましょう。
最近ではいびきのレーザー治療が人気ですので、まずは無料のカウンセリングを受けるのもおすすめです。
恋人の彼女がいびきをかいていた場合の男性の配慮と彼女への伝え方
恋人である女性と一緒に寝ていて、大きないびきをかいていると気付いたとき、男性としてはどう対処すれば良いでしょうか。
大切なのは、彼女のプライドや気持ちに配慮しつつ、思いやりを持って伝えることです。
いびきの話題はデリケートなため、「うるさいから何とかしてよ」と不満げに言うのは厳禁です。
彼女自身、もし自分のいびきであなたに迷惑をかけていると知ったら、恥ずかしさやショックを感じるかもしれません。
あなたとしても、「寝るのがつらい」という気持ちと「それでも彼女のことは大好きだ」という感情の間で葛藤するかもしれません。
ですから、まずは彼女の健康を心配する形で切り出すのがおすすめです。
「最近いびきをかいてるみたいだけど、疲れてない?大丈夫?」といった優しい声かけであれば、彼女も受け入れやすいでしょう。
伝える際には、決して彼女を責めるのではなく「一緒に改善しよう」というスタンスを示すことが大切です。
「お互いぐっすり眠りたいから、一緒にいびき対策を考えよう」と前向きに提案すれば、彼女も協力的になってくれるはずです。
実際、このいびき問題を二人で乗り越えることで、かえって絆が深まる機会にもなり得ます。その点を彼女に伝えると、安心して話し合いに応じてもらえるでしょう。
また、あなた自身も耳栓を使うなど騒音対策に取り組んでいる姿勢を見せると、「迷惑をかけて申し訳ない」という彼女の負担を軽減できます。
いびきは本人の意思でコントロールできない問題だからこそ、二人で支え合って解決策を試していく姿勢が何より大切です。
女性が急にいびきをかくようになったら注意
最後に、女性自身が「最近急にいびきをかくようになった」と感じた場合の対処について述べます。
疲労や風邪による鼻づまりなど原因がはっきりしている一時的ないびきであれば、心配は入りませんが、頻繁に起こる場合や日常生活に支障をきたす場合は、医療機関での相談を検討しましょう。
しかし、これといったきっかけもなく突然いびきをかくようになった場合は注意深く様子を見ましょう。女性は加齢に伴う筋力低下や、閉経による女性ホルモン(特にプロゲステロン)の減少などによって、いびきをかきやすくなることがあります。
最近体重が増えていないか、生活習慣に変化はなかったか、自分の体の状態をチェックしてみてください。思い当たる原因があるなら、まずはそれを取り除くよう努めましょう。
それでもいびきが改善しないときや、「いびきの音で目が覚める」「日中に強い眠気やだるさがある」などの症状が見られる場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
特に睡眠時無呼吸症候群(SAS)を伴ういびきを放置すると、将来的に高血圧や心臓病、脳卒中など重大な病気につながる危険性も指摘されています。実際に、睡眠時無呼吸症候群の患者ではこれら生活習慣病のリスクが高まることが知られています。
急にいびきをかくようになったこの機会に、自分の健康状態を見直し、必要に応じて専門医に相談して早めに対策を講じましょう。大事なのは、「ただのいびき」と油断せず、身体からのサインにきちんと向き合うことです。
まとめ
20代〜50代の女性のいびきについて、原因から対処法まで幅広く解説しました。
女性のいびきは珍しいことではなく、多くの方が経験しています。まずは自分のいびきの原因が一時的なものか慢性的なものかを見極め、生活習慣の改善など取り組みやすい対策から始めてみましょう。
疲労やストレスが原因のいびきであれば十分な休息によって解消する可能性が高いですし、肥満が関与している場合は無理のない範囲で減量することで症状の軽減が期待できます。
また、年齢による体質変化や病気の懸念がある場合には、早めに専門医に相談して検査や治療を受けることで安心につながります。いびきは放置せず向き合うことが肝心です。